最近、友人がハロプロに興味をもってくれた。
興味をもった……その空気をわたしに悟られたが最後である。
LINEであらゆる方面からハロプロの良さを熱弁。動画を送りつけまくる。どんな手を使ってでも絡めとろうとするから厄介だ。
自分でもわかっている。わかっているがやめられない。これはハロヲタの性-SAGA-である。どうしようもないこと。”わかっているのに、ごめんね!”とポーズを決めるしかないのである。
聞けば友人はどうやら小田さくらが気になるようなので、必死に小田ちゃんとモーニング娘。をさらに好きになってもらおうと努めた。
▲余白が大きいけど小田さくらさん。
でも途中でわたしはあることに気がついた。
うわ……
俺、めっちゃ鞘師のこと推してるヤン……
鞘師とはもちろん鞘師里保のことで、もちろんモーニング娘。の元メンバーのことである。もちろんPerfumeと同じ広島アクターズスクール出身、入った瞬間即エース、加入期間のシングルは9.7割センター。熱狂的な鞘師ファンの例:女優 松岡茉優。の鞘師のことである。
▲松岡茉優さんの本音。
こう説明しただけでもなんだか凄いことはわかっていただけるだろうが、本当にとにかくかっこいいのだ。鞘師は。
モーニング娘。の物語を語る上で無視できない存在。だから脱線して当たり前!小田ちゃんごめんね!
しかも脱線して語りまくってたら鞘師愛が止まらなくなってしまったので、いまブログを書いている。今回は鞘師里保のモーニング娘。としての熱すぎる物語をファン目線で書いていきます。
加入前のモーニング娘。(2010年)
モーニング娘。の全盛期はとうの昔に過ぎてしまっていた2010年。
そのころAKB48は「ポニーテールとシュシュ」、「ヘビーローテーション」をリリース。ももいろクローバーは「行くぜっ!怪盗少女」をリリースしていた。
正直この頃のモーニングは世間的にみても影が薄かっただろう。
すでに好きになっていた自分ですら、恥ずかしい存在だと考えていたし。
ハロプロの他のグループと比べても明らかにフレッシュさが足りなかった。
しかし後年”プラチナ期”と評されるだけあって実力は確かだった。
秋に横浜アリーナで行われた亀井絵里、ジュンジュン、リンリンの卒業コンサートでは圧巻のパフォーマンスを見せつけてくれた。
はっきり言ってアイドル史に残る名コンサートだ。
その姿はまさに百戦錬磨の女戦士たちだった。
コンサートツアー2010秋~ライバル サバイバル~ そうだ!We're ALIVE
おそるべしっ!大型新人さん(2011年)
亀井、JJ、LLと入れ替わるようにして2011年1月2日、9期メンバーが加入。
いまから約6年8ヶ月前のことだ。え……時間が経つの早すぎる。引くわ。
当時、久しぶりの新メンバー加入にファンは大いに活気づいた。
世間的には無風だったけれども……。
あきらかに時代の流れが他に向いている現状で、わたしもようやく再興の可能性を感じたものだった。
そしてここでついに鞘師里保登場。当時なんと小学6年生。
オーディションの映像、経歴の時点ですでに期待を寄せられていた鞘師だったが、その年の春ツアーで、彼女のその後の活躍を決定づける場面があった。
それがこの高橋愛、新垣里沙と3人で披露した「Moonlight Night~月夜の晩だよ~」である。
【モーニング娘】月夜の晩だよ~高橋愛・新垣里沙・鞘師里保~
観客は度肝を抜かれた。
わたしだって福岡の一番後ろで観ていて震えた。
高橋、新垣と対等に肩を並べる新人……!
歌唱力の差はあるものの、ダンスのキレは負けてない。いや、それ以上?
前述したとおり、高橋、新垣は百戦錬磨。間違いなく実力者だ。
これは彼女たちのレベルが低いからできるのではなく、鞘師の新人離れしたレベルの高さゆえにできた芸当だった。
新垣ものちに「”私たちについてきてる?!”と驚いた」と発言していた。
本当に恐ろしい新人だったのだ。
そしてその後鞘師はモーニング娘。新エースとして常に中央に立ち続けることになる。
モーニング娘。再興(2012年)
2011年秋に高橋愛が日本武道館公演をもって卒業。10期メンバー加入。
2012年春に新垣里沙と光井愛佳が卒業。こちらも日本武道館。
卒業公演という名目あってのことだが、どちらも満員。
ホールコンサートばかりやっていたときからは信じられない盛り上がりだ。
メンバーの過半数が新メンバーとなり、モーニングは着々と世代交代が進んでいた。その中心人物はもちろん鞘師。
楽曲面でも新垣、光井の卒業シングルとなった「恋愛ハンター」は当時の流行最先端だったダブステップを取りいれており、ファン以外にも反響を呼んだ。
Twitterの流行もあり、その評判はみるみるうちに広がっていく。
そして続く50枚目のシングル「One・Two・Three」でついにモーニング娘。は再興する!
新生 モーニング娘。 新曲「One・two・Three」を初披露 live Girls Award 2012 S/S HD
新生モーニング娘。による新曲発表。突如YouTubeにアップされたこの動画。
衣装はまだちょっとダサいが、尖ったEDMサウンドとファッションショーの舞台で披露されたフォーメーションダンスは素直にかっこよかった。田中れいな、道重さゆみの極まったビジュアル、かわいらしい9、10期の見栄えも再興だったし。
もちろん(何度も言うが)センターは鞘師里保。
ハロプロのレジェンド的大エース高橋愛からバトンを見事に受け継いでいる。
この動画やMV(Dance shot.)の盛り上がりもあり、このシングルは約10年ぶりに10万枚以上のセールスを達成。
いってしまえばこのEDM路線は鞘師ありきだったが(あとオートチューン映えする道重)、本作のヒットを受けて長期間続いていくことになる。しかも安定して高セールスを記録。
2013年1月に発売された「Help me!!!」で3年8ヶ月ぶりのオリコン1位。
4月に発売された「ブレインストーミング」でも1位。etc…
AKBなどと比べると数字的には物足りないが、それでもこの盛況っぷりは数年前まで思いもよらないものだった。
鞘師の弱点(2013年)
こうやってみると出きすぎなくらい鞘師里保の物語は順調なのだが、彼女にはひとつ弱点があった。
それは歌である。
致命的に下手なわけではない。アイドル界でみても平均よりはふつうに上だし、ハマればものすごい魅力を発揮する歌声だった。
しかし途中まで相棒ポジションにいた田中れいなのキーに合わせ、どんどん楽曲の高音パートが増えていった結果(成長による声変わりもある)、大事な一面でキメきれないことも少なくなかった。
映像がYouTubeになかったが2014年の冬のハロコン、ひなフェスはとくに調子が悪かったように思う。
またこの頃ネットでは、常にセンターに立ち、メインパートを担当し続ける鞘師に対する辛辣な意見をみることも多かった。
歌唱力を認められて加入した小田さくらと比べられることもあった。
久しぶりに出演したMUSIC STATIONでの調子の悪さも、きっと本人的には辛い出来事だっただろうと思う。
また、責任感の強さやプロ意識、クールな顔立ち、不器用な性格。
鞘師は人気メンバーであると同時に、その誤解されやすさから、アンチもたくさんいた。
センターエースの宿命とはいえ、まだ幼い彼女は心のなかで何を感じていたのだろう……。
モーニング娘。'14 『君の代わりは居やしない』 鞘師里保&佐藤優樹 ソロ ~Evolution~
モーニング娘。再興のもうひとりの要、道重さゆみの卒業(2014)
2014年秋、道重さゆみが横浜アリーナをもって卒業。
新垣里沙卒業以降リーダーを務め、年齢差も経歴もかけ離れた若手組を引っ張ってきた道重。
モーニング再興のなかで最も評価された人物である。
彼女の卒業コンサートのなかで伝説となっているのがこちらのメドレー。
あまりに激しいセットリストのなかで足を負傷してしまう道重。
主役のトラブル、しかもこれまで頼ってきた人物の不運なトラブルに、必死で場を支える若手たち。
そしてこのメドレーのなかで鞘師の歌声はひたすら冴えわたっていた。
あまり歌が得意じゃない子、わたしも当時そう考えていたし、期待はせずに彼女の姿を追っていた。
しかしこのメドレー最後の「Give me 愛」の歌唱は圧巻、の一言。
正直心が震えた。
この日、鞘師は覚醒していた。
わたしは彼女のベスト・パフォーマンスはこの日だったと考えている。
はやすぎるよぉ……!(2015)
道重が卒業、そして12期の4人が加入。ついに9期が一番上。
リーダーは譜久村聖、サブリーダーは飯窪春菜、生田衣梨奈となり、鞘師が役職につくことはなかったがパフォーマンスの中心人物として、新生モーニング娘。を引っ張っていた。
この年の春ツアー「GRADATION」では前回に引き続き歌声が安定しており、批判の声は少なかったように思う。
しかし春リリースのシングル「青春小僧が泣いている/夕暮れは雨上がり/イマココカラ」、夏リリースの「Oh my wish!/スカッとMy Heart/今すぐ飛びこむ勇気」と、徐々にセンターから外れることが増えた。
長期間続いた鞘師1TOP時代は、道重さゆみ卒業とともに一区切り、という感じだったのだろう。
センターは全盛期の頃から交代制だったし、パフォーマンスの要である鞘師がサブにつくことほど頼りになるものはなかったので、ファンも悠長に構えていた。
しかしその年の秋ツアーの途中(わたしが熊本公演に参加したあと)、突然鞘師は今年いっぱいでの卒業を発表した。
まだ18歳にもなってないのに!
道重が抜けて、次が鞘師だなんて誰ひとりとして考えられない状況だった。
彼女に一体何が……。
ファンとしては色々思いあたることはあったけれど、彼女のラスト・シングルとなったこの曲を聴けば、彼女が感じていたものの重さを思い知り、何も言えなくなった。
ひとより上に立つという恐怖。
自分はひとより優れていなければならないというプレッシャー。
無視できない孤独感。
つんく♂の書いた歌詞は、あまりにも彼女の人生を言い表していた。
本人からしたこんなこと思ってないって感じかもしれないが、ファンの目に映る鞘師像とは完全にリンクしていた。
そしてきたる12月。
鞘師の卒業は12月31日のハロー!プロジェクト全体のカウントダウンコンサ―トのなかで行われることとなった。単独としては12月7日の武道館公演が最後だった。
胸中複雑なファンたちに見守られながら始まったこの公演。
鞘師はやっぱりエースであり、センターであり、誰よりも目をひく存在であった。
モーニング娘。'15 『PRISMメドレー』鞘師里保 ソロアングル
そして自身の旅立ちにつんく♂から寄せられた曲「ENDLESS SKY」で
「泣くわけないでしょ 泣くはずがない 自分で選んだ未来だから(けど悔しいな 涙止まらない 思い出に包まれ)」
と歌いながら声を震わせる彼女に、ファンも他のメンバーも涙を抑えることなどできなかった。
まるで少年マンガの最終話みたいだな、と思う。
それほど物語的に完成されたシーンだった。
そして2015年12月31日、彼女のモーニング娘。としての物語は終わりを告げる。
しかし鞘師ほど大きな存在が抜けても、いまなおモーニング娘。は続いている。それもまた、モーニングの凄さだと思う。
今もまだちょっと寂しいけど。
そして鞘師はその日以降、人前に姿を現していない。
でも絶対にステージに帰ってくると信じている。これほどすごい物語を見せてくれた彼女のことだから、その続きもきっと……!
終わり。