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ぺいちゃんねる'16

続いてはこちらの曲。

古本からは他人の思い出がこぼれおちる。

ブックオフで買った江國香織さんの「やわらかなレタス」というエッセイ集を読んでいた。だらしない猫のように寝転びながら読んでいた。そしたらページの隙間からしおりがすべり落ちてきて、ぼくの胸のあたりに着地した。

手にとってみると、そのしおりにはびしっと、「長崎県立大学」と書いてある。

おお、この本は、長崎県からきたのね。
”2011年2月初版”と書いてあるから、その頃買われたものなのだろう。
江國さんのエッセイを読むようなひとは、よほど偏見のない男性を除くと女性かゲイかだと決まっている。(これこそものすごい偏見)

きっとこの本を買ったのは女性だろう。
2011年、授業もちょっと減った大学2年の冬のことだ。長崎は故郷よりは刺激的だけど、やっぱり都会な気分になるにはちょっと足りない。雑誌を読んでも満たされないこの気持ちを、江國さんの本を買ってみる。大学の生協で、目立つ場所に控え目に置かれていた。(江國さんの本はたいていそういう場所に置かれている)
お気に入りの家具で飾った1Rで、じっくり読む。その夜はなんだか自炊に力がはいって、作りすぎてしまう。サークルに顔出すのも面倒。同じマンションの友達となんとなく毎日集まってしまう。

……そして月日は経ち、結局大学卒業後は地元の企業へ就職した。
福岡県の南のド田舎、わたしはこの街から出たくて仕方なかったはずなのに。
最近は「ものを少なくして暮らす」ことが流行ってるらしい。本棚に、最近全然開いてない本がたくさんあったはずだ。近所にブックオフがあるから、売ってこよう。部屋がきれいになったら仕事のストレスもちょっとは軽減されるんじゃないかしら。


そうやって売られた本が、いまぼくが読んでいるこの「やわらかなレタス」だ。
多分違うんだろうけど、そういうことにしておく。
ブックオフで本を買うとたまにこういう、前の持ち主の人生のかけらみたいなものが挟まっていることがある。潔癖症な気分のときはひたすら気持ち悪っと思うんだけど、たまには前のひとの人生に思いを馳せるのも楽しいと思う。


さて、このぼくがよく行くブックオフだが、かなりの田舎な割にやけに品揃えがいい。漫画はあんまりないけれど、CDやDVDはなかなかぼく好みのものを売っている。

ぼくがこれまで購入したものを挙げてみると、カーネーション「LIVING/LOVING」「Mellow my mind」、ACO「TRAD」、おおはた雄一ラグタイム」、原田知世「eyja」、鈴木慶一「シーシック・セイラーズ登場!」、矢野顕子「oui oui」、「スーパーフォークソング」、「Reverb」など……。どうです、すごいラインナップでしょう。東京のdiskunionじゃなくってよ。ど田舎のブックオフでこのラインナップ。

ぼくと同じような趣味のひとがもうひとり住んでいるとしか思えないのです。
でも彼が……彼女が?なんでこんな名盤たちを売ってしまうのか、しかも数回にわけて(おそらく2カ月に1回くらいのペース)それがとても気になる。友達になりたい。ブックオフを介さず、直接買い取りしたいとまで思います。
でも今のところふたりをつなぐのはブックオフだけ……。
だからぼくはお宝を探すために車で片道約40分の道のりを駆けていき、CDの棚を端から端までめざとく探す。地元に帰ってから月1回はそんなことをしています。暇人だね。

ちなみにこのブックオフにはもうひとつぼく好みの客がいる。
仮にひとりの男性の仕業だと考えると、彼はきっと元ゆうかりん、あやちょ推しのハロヲタだ。

一時期「ショートカット」~「チョットマッテクダサイ!」のシングルが大量に置かれていたあった。とくに「プリーズミニスカポストウーマン!」が段違いで多く、おそらく彼はゆうかりんと最後の握手をたくさんしたかったのだと思う。スマ4人時代の写真集もあったし。ゆうかりん卒業あとはあやちょ推しになった。「デュアルスマイル」のDVDやベスト、「スマイルセンセーション」のリリイベDVDも売っていたのでなかなかのファンだったはず。でもそれ以降は1枚もなく、ヲタ卒したのだろうと思っていた……。

が、先日そのブックオフにいったらなんと大量のモーニング娘。のライブDVDが売られていたのだ。プラチナ9DISCO~GRADATIONまで、約5年分のライブDVD。それにBerryz工房のラストライブとラストアルバム初回盤まで。

これは元スマヲタの彼の仕業だと思った。Blu-rayじゃなくて全部DVDだし。
ここまで買ってきた彼が……完全にハローを卒業してしまったのか。

しかしよく見ると2本だけ抜けている。亀井絵里JJLL卒業コンサート「ライバルサバイバル」と道重さゆみ卒業コンサート「GIVE ME MORE LOVE」の2枚。
さゆえりヲタ……!わかる、その気持ち……。この2枚は売れないよね。なんて勝手に棚の前で共感してしまった。
とりあえずDVDだったのでいったん保留にして帰ってきたが、「愛BELIEVE」と「カラフルキャラクター」は今度行ったときに買おうと思う。


こんな風に他人の姿や人生を勝手に妄想してしまうのは、やはり古本屋には他人の思い出が残されているからなのだろう。それってやっぱり気持ち悪くもあるし、楽しくもある。妄想自体が気持ち悪いし。でもやめられないのだ。みなさんもぜひ、地元の古本屋で他人の人生に思いを馳せてみてはいかがですか。


Edo River / carnation